じんぱち

かわいがっていたハムスターのじんぱちが死んだ。
体を揺すっても、目をつむったまま動かない。
おやつをあげなかったからだ。忙しくて、ついつい世話をサボってしまったのだ。
激しく後悔し、冷たくなったじんぱちのまわりに、おやつをならべた。
するとじんぱちが目を開けた。
起きあがり、黒い瞳を輝かせ、次々とおやつを平らげていく。
よかった。ごめん。もう二度とほったらかしにしないよ。
そう誓った瞬間、じんぱちはにっこりと微笑み、静かに倒れこんだ。
あわてて抱きよせると、小さな体から何かが抜けだし、天へとのぼっていった。
目を覚ますと、短く硬い毛が、胸にたくさんついていた。
という話をしたら、「それは本当なの!?」と訊かれてしまった。