2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ジョゼと虎と魚たち』

近所のそれほど大きくもないレンタルビデオ店では、すでに新作扱いではなく、4本もあるというのに、『ジョゼと虎と魚たち』のDVDは、最近までいつも貸し出し中だった。犬童一心監督によるこの映画は、恒夫(妻夫木聡)とジョゼ(池脇千鶴)の出会いと別れを…

「あいくるしい」第三回(4月24日放送)

母親の病気は治療不能で、近い将来の死が避けられないことが決定的になった。そこで家族は母親を退院させ、余生をともに過ごすことにした。医学の進歩が、何が治療可能で何が治療不能かを、そして、死期を明確にするとしたら、それは残酷なことかもしれない。…

クリント・イーストウッドと『ミリオンダラー・ベイビー』

小林信彦は『週刊文春』で、クリント・イーストウッドが70歳を超えてなお売り込みをしなければならないとぼやくエピソードを紹介していた。イーストウッドは『ミリオンダラー・ベイビー』製作のため、当初「ワーナー・ブラザースに企画を持ち込むが、“いまど…

「あいくるしい」第二回(4月17日放送)

主人公・真柴幌はやはりちょっと頭が弱いように見える。実際、母親は幌が発達障害ではないかと心配していたことを仄めかし、あまり勉強はできないものの、「まともに」育ったことに安堵している。ただし、泣くことがない──そしてどうやら、怒ることもない──…

野島伸司脚本ドラマ「あいくるしい」初回

昔はテレビドラマがつまらなくて映画ばかり見ていたのだけど、近ごろは新しいドラマが始まる季節になると、面白そうなものにだいたいの当たりをつけるようになった(なってしまった)。とりあえず日曜日は「あいくるしい」を見てみた。脚本は野島伸司。「仔…

早川いくを『へんないきもの』

ドゥーガル・ディクソンほかによる『原色版 恐竜・絶滅動物図鑑』や、水木しげるの「画談」シリーズなど、非現実的な生物を収めた図鑑を好むものとしては、ベストセラー『へんないきもの』(バジリコ株式会社)は必見だった。が、自分と同じように童心に帰る…

橋本治『ちゃんと話すための敬語の本』

以前、「3年B組金八先生」で金八が生徒たちに敬語を使うように説教する場面にふれ、「『年上を敬え』というメッセージも、突き詰めれば論理的に説明できるようなものではない」(http://d.hatena.ne.jp/mnsn/20041107)と書いた。「なぜ敬語を使わなければな…

桐野夏生『I’m sorry, mama.』

桐野夏生『I'm sorry, mama.』の面白さは主人公松島アイ子の面白さでもある。アイ子の育ちはこの現代日本で考えられるかぎり最悪のものだ。アイ子は育ちの悪さを指摘されることをもっとも嫌うが、それは言動から明らかだ。それでもアイ子は幼いころから劣悪…