野島伸司脚本ドラマ「あいくるしい」初回

昔はテレビドラマがつまらなくて映画ばかり見ていたのだけど、近ごろは新しいドラマが始まる季節になると、面白そうなものにだいたいの当たりをつけるようになった(なってしまった)。とりあえず日曜日は「あいくるしい」を見てみた。脚本は野島伸司。「仔犬のワルツ」で度肝を抜かれたので、正直怖いもの見たさだ。が、予想に反して、初回はコメディ六割、シリアス四割といった具合で、田舎町の人間模様がテンポよく描かれていく。

生まれてこのかた一度も泣いたことがないという主人公の少年の家の朝食の風景は、竹中直人演じる父親がトイレにつまっている大きなウンコを発見してしまい、「とぐろを巻きやがって流れやしない!」と激怒し、犯人が名乗り出るまで、だれもメシに手をつけてはならないと食卓を囲む家族全員に告げる場面によって描かれる。入院中の母親に代わって家事を仕切っている長女(綾瀬はるか)は、その子供じみた振る舞いに呆れ、「もー、わたし(ってこと)でいいわよ」と投げやりに食事を促すのだが、間髪入れず「姉ちゃんがやったの?」と弟(市原隼人)に笑われてしまう。姉はあわてて否定するがすでに手遅れだ。野島作品にしては珍しい、そして綾瀬はるかファンにとってはある意味貴重な場面だったかもしれない。

とはいえ、こういう良くも悪くも下らない場面は今後減っていく可能性もある。少年の母親は医者も諦めるほど病が進み、そのほかにもこの小さな町には、いろいろな問題が燻っている模様。といっても、今のところそれは住民相互の問題ではなく、それぞれがそれぞれに抱えている問題にすぎない。いずれにしても、たくさんの登場人物をどう絡ませていくのかに注目したい。

主人公の少年の夢は「世界を救うこと」。同級生たちには笑われてしまうのだが、はたして救世主になれるのか?