2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『スティーヴィ』とあるドキュメンタリー

山形国際ドキュメンタリー映画祭2003にて公開された『スティーヴィ』という作品が、森達也の『ドキュメンタリーは嘘をつく』で紹介されていた。以下、要約・引用する。 じつの親に虐待され、見捨てられ、施設に預けられた11歳の少年スティーヴィは、施設の所…

『ドラゴン桜』

『週刊モーニング』で連載が始まったときは、なるほどこういう手があったかと思った。『ドラゴン桜』は落ちこぼれが東大を目指すというありえない設定と、東大合格の秘訣を説くマニュアル形式である点が目を引く。 日本は学歴社会。お前らは負け犬。低学歴者…

「あいくるしい」と『曾根崎心中』

死者が蘇ることはフィクションでは決して珍しいことではないのだけど、母親を「再生」させた「あいくるしい」には、さすがに少々度肝を抜かれた。これはそういうドラマではないはずだ。案の定、この「母親」をめぐるその後の展開は、ヒッチコックの『めまい…

「黒革の手帖」と津川雅彦

そもそも原口元子役には元タカラジェンヌあたりの凛々しくて力強い女優が適役だと思っていたのだけど、米倉涼子が演じる元子は、なぜか回が進むたびにそれほど違和感がなくなってきた。どこか骨太な体つき、不器用な演技が、逆におどろおどろしい作品世界に…

あの黒目の男

KIJ@ルミネtheよしもと(7月3日)。先々月に続き二回目。う〜ん……。もっとも笑ったのは、365日すべてが記念日になっているカレンダーのくだり。でもあれってカレンダー自体が面白いんですよね……? 初めて遊びにいった彼女の家にあんなのがあったらちょっと…

先輩と後輩のありえない話

場末のレンタルビデオ屋にて。カウンターの先輩と後輩。「……すげえしつこいんスよ。ほら、これ、着信履歴」 「うわあ、エミちゃんエミちゃんエミちゃ……おまえ“ちゃん”づけは止めろよ!」 「とにかく、おれ、もう絶対電話しないことにしたんスよ」 「キリがね…

「タイガー&ドラゴン」と清水ミチコ

「タイガー&ドラゴン」を途中から見て、最近ようやく見終えた。宮藤官九郎の脚本としては「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」に特徴的な土着性や同時代性が脱色されている。その良し悪しはともかく、少なくとも、猥雑さが省かれた分、古典…