2006-01-01から1年間の記事一覧

『武士の一分』が見応えはあるのに、そんなにはよくない理由

『武士の一分』、五体満足でなくなったらどうしよう、とおそらくだれもが一度は考える問題を導入にしている間口が広い映画でした。 中年にさしかかろうとしている主人公の武士は、「毒味」という自分の役目をたいして誇りに思っていないし、転職さえ考えてい…

少子化は政策で解決できる?

ヤフーのアンケート。「過去最低となっている合計特殊出生率。国や自治体の政策によって「少子化問題」は解決すると思いますか?」http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/quiz/quizresults.php?poll_id=282&wv=1&typeFlag=15万人が答えて、その85%が「(解決…

甲野善紀身体操作術

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7541予告編 以前から気になっていたのだけど、動く姿を見たのは初めて。 なかなか衝撃的でした。冒頭では「起こり」を消した動きが紹介されていた。 「起こり」とは「起こりそうな気配」というべ…

中平卓馬のドキュメンタリー

http://www.cinekita.co.jp/lineup/camera.html 「カメラになった男」というタイトル、うまいすね。中平卓馬の写真は、良い/悪いとか、上手/下手とか、きれい/汚いとか、かっこいい/かっこわるいとか、そういうレベルを超えてしまっている(ように見える…

泣き虫ボクサー

一年前の深夜、「泣き虫ボクサー奇跡」という番組が放送された。気になるタイトルだったのだけど、見逃してしまった。忘れかけたころ、先週フジテレビで「タツキ 泣き虫ボクサーの死闘」というドキュメンタリーが放送された(テレビ欄のタイトルは「泣き虫ボ…

最近気になったCM

テレビはだいたい録画して見ている。 CMは早送りしてしまうけど、たまに気になるのもある。 あるいは下記URLの「資生堂企業広告「新しい私になって」篇」をクリック。 http://www.shiseido.co.jp/tsugiyama/ すごい完成度じゃないすか? 男女と母娘、それぞ…

嘘を吐く映像

「ドキュメンタリーは嘘をつく」が某動画共有サイトにアップされている。こういうところで見るのはちょっと申し訳ないけど、半年前の放送は見逃していたのでありがたい。 内容はというと、一見いい加減ながら巧妙な構成は「ガキの使い」を思わせる。まあ、さ…

気分はそろそろ戦争

たしか自分が小学生のときの授業では、戦争とはすでに過去の出来事であり、イラン・イラクなどは、この平和な時代に未だに小競り合いをしている気の毒な国家という、いわば同情さえ受けていたと記憶しているのだけど、昨今では、そのような呑気な気分こそ、…

『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』

アウトサイダー・アートを、アウトサイダー・アートだから好き、といってしまうのは、間違いというか、つまらないことなのだろうけど、ニキフォルのようなアウトサイダーの作品は、どこか理性が飛んでいるように見えるという意味で、なんだか気になってしま…

『2番目のキス』〜バリモアは意外にかわいかった

待望のファレリー兄弟最新作。といっても今回はどちらかといえば「ドリュー・バリモア主演」が売りの模様。そしてバリモアがどんな女優かといえば、『25年目のキス』『50回目のファースト・キス』の主演女優である、とのこと。プレスの意向を汲んでか、「本…

取り調べ

一昨日、宮内被告人の第2回公判が開かれた。もはや忘れられているかもしれないが、初公判直前にはこんな記事も。 「うほほ。そんなにもうかっちゃうの。その金額、予算に乗せといて」 宮内被告の供述によると、2003年10月に開かれた会議で、グループ子…

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』はやっぱりすごい

池袋の新文芸座で再見。完璧という印象をこれほど与える映画は最近ではほとんどないでしょう。単純な話ながら、覚醒したまま悪夢を見させられているような感覚を覚えます。 まず前半のうまいなあと思うところ。それぞれのショットは簡潔である一方、シーン、…

『間宮兄弟』にほのぼのする

シャツの裾をチノパンにしっかりとしまいこむ着こなしの間宮兄弟。冒頭は、なにをするにもいつも一緒、それだけで充分に楽しいという仲良しの様子が描かれる。「いい歳して、なんか気持ち悪いなあ(苦笑)」と違和感を覚えてしまったのだけど、それが嫌悪感…

失恋といえば失恋

ある朝、あるファストフード店にて。 「はぁ…」 「……また連絡とれないの? ひどい顔してるよ」 「……最近思うんだけど…歳とると回復力が落ちるよね」 「そうねえ。ここだけの話、オールした翌日なんてサイアクよ」 「ていうか、その歳でぶっちぎりで踊りまく…

イッセー尾形 スタジオライブ

5月14日、NHK芸術劇場で放送。観客のいないスタジオでのパフォーマンスは、ライブというよりもレコーディングのような印象。反響のない密室で行われれば、否応なく一挙手一投足を注視させられ、芸というより芸術を鑑賞するような見方を誘われる。自分にとっ…

セクハラといえばセクハラ

北米トヨタの社長がセクハラで元秘書に訴えられたというニュースが気になります。損害賠償額が莫大で、あそこまでいくと個人の問題ではないですよね。アメリカの裁判は日本の裁判と比べると、原告と被告の主張のどちらかをハッキリと認める傾向があるけど、…

「ブスの瞳に恋してる」と『愛しのローズマリー』

「ブスの瞳に恋してる」(http://www.ktv.co.jp/busu/)は、制作発表における「ブスが褒め言葉になればいい」という稲垣吾郎の発言と、ヒロインが村上知子というキャスティングが気になっていたのだけど、どうも当初の期待──といっても何を期待していたのか…

村上隆とナルミヤの和解をめぐる話について

「マウスくん」訴訟で和解=ナルミヤが4千万円支払い−東京地裁 子供服メーカー「ナルミヤ・インターナショナル」(東京都港区)のキャラクターをめぐり、現代美術家の村上隆さん(44)が著作権を侵害されたとして、同社を相手に損害賠償などを求めた訴訟は24…

地上最強の悪口

昨夏「木村祐一SHOW〜写術〜」で知ったこの悪口。 地獄を天国にしてやる あいにく正確な言い回しを忘れてしまったんだけど、これはようするに「今、おまえが地獄だと想定しているその世界さえも、『ああ、振り返ってみれば天国だったなあ』と思うような(真…

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』はすごい

デビッド・クローネンバーグといえば変わった題材となんらかの新奇性を好む監督という印象があった。でも、50年代の西部劇を意識したという今回の作品は、物語としてはありふれているし、奇抜な表現を試みているわけでもない。にもかかわらず、とんでもなく…

『Mr.&Mrs.スミス』は何映画なのか?

ヒッチコックの『スミス夫妻』とは関係なく、たんなる美男美女の派手な夫婦喧嘩の話でした。主演の二人はコレがきっかけでアレした、みたいに、話題が先行した映画なのかもしれない。ただ、ジャンルとしてはラヴ・ロマンスから始まり、サスペンス、アクショ…

『のだめカンタービレ』と芸術マンガ

『のだめカンタービレ』、めちゃめちゃテンポが良くて読みやすいです。ギャグとクラシックの組み合わせも新鮮。のだめは自分のことを愛称で呼ぶような、ある意味イタイ、天然の三枚目だけど、不思議ちゃん的なやらしさがなくて、絵柄も全然媚びてないという…

9・11と『永遠の語らい』

歴史学者の若く美しい女が、娘とともに、ポルトガルからインドへと向かう船旅に出る。その途上、各地の歴史遺産を前に、ふたりは西洋史についての対話(というか娘は訊いてばかりなのだけど)を重ねていく。目的地ボンベイではパイロットの夫が待っていると…

古畑任三郎ファイナル

映画館だとたぶん観に行く気はしないけど、テレビだったら、ついつい気になって視てしまうシリーズのファイナル三回。 藤原竜也篇。藤原演じる犯人のあまりのガキっぽさに辟易してしまったが、「じつは真犯人は……」みたいなどんでん返しが仕込まれていた。お…

トニー・スコットの会心作(?)『マイ・ボディーガード』

兄リドリー・スコットは芸術家肌、弟トニー・スコットは大衆路線の監督。おそらく世間的にはこんな図式で考えられている。それはたぶん間違っていないし、僕もそんなふうに考えていた。だいたいトニー・スコットの映画は「ああ、あれってそうなの?」と監督…