古畑任三郎ファイナル

映画館だとたぶん観に行く気はしないけど、テレビだったら、ついつい気になって視てしまうシリーズのファイナル三回。
藤原竜也篇。藤原演じる犯人のあまりのガキっぽさに辟易してしまったが、「じつは真犯人は……」みたいなどんでん返しが仕込まれていた。おそらく、これまでのシリーズにはなかった反則的展開ではあるものの、イライラ気分が最後になんとか帳消しになった。
イチロー篇。嘘を吐かない殺人犯という画期的な設定。古畑はそのフェアプレー精神に応えて──といってもいつもどおりに、単純な追及で自白させるのではなく、言い逃れできない状況に追い込むことで殺人を認めさせる。まあ、フェアプレーといいつつ、兄の失態(自分の不名誉)を殺人で解消しようとすること自体、おかしな話なんだけど、やはりそういうつっこみはしちゃいけないんだろう……。いずれにしても、このドラマのイチローは高潔というより、変わった考え方をする男。浮気なんて、そもそもしないのかもしれないけど、するとしたら、ちゃんと奥さんに向けた手がかりを残すのだろうか(笑)。それにしても立ち居振る舞いがいちいちかっこいい。野球選手にしては演技が巧いというより、イチローという人間はふだんからイチローを演じているのだろう。
松嶋菜々子篇。「入れ替わったの?」という当初の違和感をすぐに消されてしまったところが、演出が巧いというか、視聴者としてはちょっと悔しいところ(笑)。といっても、視ているあいだは考える余裕を奪われるものの、振り返ってみると、正体がばれる様々なリスクを抱えながら入れ替わらなければならない理由が不明なのがイマイチ。あれがもっとも合理的な殺人計画ということだろうか。「女としてのプライドだけではなく、脚本家としてのプライドがあのようなトリッキーな計画を立てさせた」みたいな話にすればいいのかもしれない。ちなみに、三谷幸喜は基本的にリアリティを排除して、きれいな嘘をつくりあげようするわけだけど、松嶋篇は、束の間ではあるものの、古畑の恋愛を描こうとしたという意味で異色の回だったのかも。ともあれ、田村正和は相変わらず、なにをやっても田村正和……。*1

*1:追記。「岡田斗司夫プチクリ日記」で古畑の恋が分析されていました。たしかに女性漫画家が犯人で、生卵が決めての回があった気がします。http://putikuri.way-nifty.com/blog/2006/01/post_c3d6.html