『2番目のキス』〜バリモアは意外にかわいかった

待望のファレリー兄弟最新作。といっても今回はどちらかといえば「ドリュー・バリモア主演」が売りの模様。そしてバリモアがどんな女優かといえば、『25年目のキス』『50回目のファースト・キス』の主演女優である、とのこと。プレスの意向を汲んでか、「本作はキス・シリーズの3タイトル目に位置づけられる」と推すメディアも見かけた。どんなシリーズだよ……。だいたい邦題も決して良い出来とは思えないけど、バリモアは今回、プロデュースも担当していることだし、バリモアによるバリモアの映画であることも考えれば、既定路線の当然の売り方なのかも……。

とはいえ、あのファレリー兄弟がこの大物女優を、無難にかわいく、きれいに撮るわけもなく、『メリーに首ったけ』ほどではないにせよ、ヨゴレなネタも辞さない思い切りのいい描写とギャグが何度も見られて、思わず拍手したくなった。そしてその結果、これも当人の思惑通りなのか、バリモアが初めてといっていいくらいにチャーミングに見えてしまった。クライマックスもしっかり泣かせるし──やはり『メリーに首ったけ』ほどのシナリオには思えないにせよ──、かなりの作品に仕上がっている。

ところで、本作で組み合わされたのは、キャリア・ウーマンと趣味に生きる男で、これは上昇志向の女とおたくor下流に止まる男ともいえますね。同様のカップルは「電車男」をはじめ、昨今のフィクションでは珍しくない。ダメ男を描かせると抜群のファレリー兄弟だけど、ヤンエグ男子と腐女子の恋愛というテーマをどう料理するのかもちょっと気になる。