地上最強の悪口

昨夏「木村祐一SHOW〜写術〜」で知ったこの悪口。

地獄を天国にしてやる

あいにく正確な言い回しを忘れてしまったんだけど、これはようするに「今、おまえが地獄だと想定しているその世界さえも、『ああ、振り返ってみれば天国だったなあ』と思うような(真の)地獄があることを知ることになるだろう(思い知らせてやる)」ということなのです。
なんと回りくどい……。しかも「天国にしてやる」といわれれば、思わず「エッ、天国に? なんて親切なひとなのだろう」と感謝したくなってしまう。
しかし、この悪口の恐ろしさは、この回りくどさと勘違いしやすさにこそある。一瞬、安心させて、遅れてやってくる、まさに地獄に突き落とすような悪口。天使かと思ったら悪魔だった、みたいな。
さらに、もちろん、地獄とは恐怖や苦痛についての人間のイマジネーションが総動員された世界であるわけだが、ここでは「そんなものは序の口。というか序の口でさえない」という、いわば人間の想像力の限界の限界に挑ませようという理不尽な要求さえも認められる。
ただし同じ相手には一度きりしか使えないだろう。使わないで済むような人生をまっとうしたいものですが……。
さて、そんなわけで「地獄を…」そのものはキム兄の発明ではないのですが、この希代の悪口名人の展覧会「キム兄屋敷」がもうすぐです。