『間宮兄弟』にほのぼのする

シャツの裾をチノパンにしっかりとしまいこむ着こなしの間宮兄弟。冒頭は、なにをするにもいつも一緒、それだけで充分に楽しいという仲良しの様子が描かれる。「いい歳して、なんか気持ち悪いなあ(苦笑)」と違和感を覚えてしまったのだけど、それが嫌悪感に変わることなく、途中からはなんとか愛すべき兄弟に見えるようになった。
出張先での、兄(佐々木蔵之介)ののびのびとした独り言が可笑しい。弟(塚地武雅)に電話した後、「寝る前に電話する相手がいるっていいなァ」。ベッドに座り、「さあ、ウトウトするまで読書しよ〜っと」。おまえはのび太か、そこまでいうならもうしょうがない(笑)、とこのキャラを受け入れるよう観念させられる。
無闇に快活な高嶋政宏、いつも不機嫌な岩崎ひろみ、ひたすら明るい北川景子など、他の登場人物の表情や仕草もいちいちかわいい。塚地の台詞回しには、ところどころ日頃バラエティ番組で披露している塚地キャラっぽさも。
テーマ音楽や効果音も楽しい。兄がビデオ屋の女の子(沢尻エリカ)をパーティに招待することに成功したときや、兄弟が床を並べてニヤニヤと語り合う、就寝前の「反省会」導入場面はかなりノレる。とくに後者は、暗い廊下をローアングルでクスクスという笑い声と灯りが漏れるドアへと接近するという、ちょっとホラーっぽい撮り方なのだけど、ともすればブラックユーモアになりそうなところが、ほどよいバランスで明るい雰囲気に仕上がっていた。
話としては、そんな女っけのないふたりの生活に異変が──という展開。野心的というより、こんな映画も撮れるぞ、という森田芳光の余裕がうかがえる作品だった。*1

*1:ちなみに、間宮兄弟をオタクだという意見もあるようだけど、彼らはどっちかというとマニアですよね、趣味の対象からいって。