セクハラといえばセクハラ

北米トヨタの社長がセクハラで元秘書に訴えられたというニュースが気になります。損害賠償額が莫大で、あそこまでいくと個人の問題ではないですよね。アメリカの裁判は日本の裁判と比べると、原告と被告の主張のどちらかをハッキリと認める傾向があるけど、今回の場合はどうなるんだろう? 企業の規模と慰謝料の額は比例するってことになるんでしょうか?
すが秀実は「それをアートというなら、それはアートである」というドナルド・ジャッドの言葉を引いて、「セクハラといえばセクハラ」と現状を皮肉っています(『WB』最新号)。会社とか大学とか役所とか、世の中にはいろんな共同体があって、それぞれガイドラインを設けているんだろうけど、なにが嫌がらせかの明確な基準なんてつくりようがない。結局、当事者の主観の問題になってしまうというわけです。
高校や大学のモテる教師・教員は今、けっこう戦々恐々なんじゃないかと思います。大人同士のわりきった関係(ともかぎらないだろうけど)をベースにした会社と比べても、学校はお互いちょっと勘違いしやすい環境にあるだろうし。
いずれにしても「触らぬ神に祟りなし」ではないけど、間違いを避けるためには(正当性を確保するためには)、距離をとるしかなくなってしまう(痴漢冤罪を恐れる男が電車内で女を避けるように)。ところが一方で会社、大学を問わず、世の中に職場結婚は珍しくない。結婚にまで発展するということは、それまでにケンカのひとつやふたつはあるだろうから、彼らはそれなりに危ない橋を渡ってきたということになる。もちろん別に職場結婚はかまわない。でも、セクハラ裁判が日常茶飯事になると、「実際には職場結婚だってあるけど、それって結果オーライなの?」と微妙に腑に落ちない気分になりますね。
それとも、以前「行列のできる法律相談所」で、島田紳助は年下のマネージャーと結婚したばかりの磯野貴理子に「きみのは本当は結婚ちゃうで。旦那さんの長〜いノリツッコミやねん」とか言ってたけど、もしかすると、今後はどこかで「振り返ってみれば、やっぱセクハラだった」みたいな、すごい裁判が開かれたりするようになるんでしょうか(^ ^;
まあ、冗談はさておき、こういう反セクハラというかPC的フェミニズムを、ほどほどにしないで推進すると、結局、職場恋愛なんて不可能になるんでしょうね……。

セクハラでトヨタを提訴 米法人の元社長秘書
 【ニューヨーク2日共同】トヨタ自動車の米国法人、北米トヨタ自動車の元社長秘書の日本人女性(42)が2日までに、上司である同社の大高英昭社長(65)からセクハラ(性的嫌がらせ)を受けたとして、トヨタ本社、北米トヨタ、同社長の3者を相手取り懲罰的な賠償を含め総額1億9000万ドル(約215億円)の損害賠償を求める訴えをニューヨーク州地裁に起こした。
 訴えによると、女性は2005年4月から社長秘書に配属されたが、社長から2人きりで出張できるように日程調整することを求められるなど恒常的に嫌がらせを受けた。会社側は女性からの報告を受けながら適切に対処せず、セクハラを防止する体制に不備があったと主張している。
共同通信