『Mr.&Mrs.スミス』は何映画なのか?

Mr.&Mrs.スミス プレミアム・エディション [DVD]ヒッチコックの『スミス夫妻』とは関係なく、たんなる美男美女の派手な夫婦喧嘩の話でした。主演の二人はコレがきっかけでアレした、みたいに、話題が先行した映画なのかもしれない。ただ、ジャンルとしてはラヴ・ロマンスから始まり、サスペンス、アクションと展開し、最終的にはコメディで終わるという妙な作品です。近年はおよそ、あらかじめどんなジャンルの映画かを知ったうえで映画館に向かわざるをえないような状況にあるので、その点、超有名な二人が主演のメジャーな作品でありながら、ちょっと微妙な流通の仕方をしたという意味では面白い作品なのかもしれません。
スジとしては、殺し屋という素性を隠し合うふたりが恋に落ちて、結婚する。隣近所はもちろん、互いに本職を隠しながら生活するという二重の意味で仮面夫婦ですね。それが、しばらくして、偶然にも同業者であることが発覚し、二人ともそれぞれ所属する組織から相手を始末するように指令されてしまうわけです。
ここまでの駆け引きや調子のいい展開はけっこう笑えます。愛し合っていた男女が夜通し殺し合うというのもちょっとワクワクするものがある。男女がまったく対等というところも今っぽい。というか肉弾戦を互角に繰り広げる場面はコントというべきなのでしょう。日本人としては笑えるというより、タフさになんだか感心してしまうんですが、アメリカの劇場では爆笑の場面なのかもしれません。ただ、さすがに市街戦は荒唐無稽だし、最後のアクションシーンは呆気にとられてしまいました。和解後はもっとすっきり終わらすべきではないでしょうか。まあ、いずれにせよ、こういうバカな映画は嫌いではないんですが、正直、あまりマジメに語るような映画ではなく、主演の二人が嫌いじゃなければ、観て損はないかなあって程度の作品でもあります。*1

*1:ところで、新宿スカラ座の五階の劇場、「ミニシアター」とかいって、70席ほどしかないんですね。学校の教室と変わらない広さ。スクリーンだって黒板サイズですよ。これで他の劇場と同じ入場料とは……と少々憤慨しつつ、出口に向かうと、途中でロビーの実物大ドラえもんに目を奪われ、思わず和んでしまうんですが、あれは劇場側の戦略なのでしょうか……。