『明日、君がいない』と『エレファント』

自殺をテーマにした映画『明日、君がいない』は、手法が『エレファント』にそっくりで驚いた。
後者はコロンバインの高校で起きた大量殺人を扱っている。恐ろしく美しいが、反面、こんな題材をこんな審美的に描いていいものかと複雑な気分になる映画だ。話としてもスジはあってないようなもので、その構成は実際の事件に大きく負っている。
それに比べれば、前者は周到に伏線を張り、意外性があり、自殺者がそれっぽくない人であるところにも共感・納得させられる。ただし、逆に「自殺、よくない」というメッセージが率直すぎて、芸術作品としてはどうなのかと微妙な気分にもさせられる。
『明日、君がいない』のマジメさは、道徳の授業で見せられる教材を連想してしまう。もう少し肩の力を抜いてもいいのでは……と思うが、友人の自殺がきっかけになっているのでは、それは酷というものだろうか。いずれにしても、こういう作品が出てくると、『エレファント』がいかに「無責任」であるかがよく分かる。