落書きとホームレス その2

渋谷アートギャラリー246をめぐる騒動が、ちょっとだけ進展し、→会田誠も言及しはじめた
会田氏は自作に「落書き」を積極的に取り入れるストリート系アーティストの最右翼といえないこともないし、また、美術教育がテーマの作品も手がけている。こういう問題には一家言あるはずなのだ。
ただ、今回のテキストには少々腑に落ちないところがある。

グラフィティをやった側としては、「春の小川」側(主体がどこなのか、いまいちハッキリしないので、とりあえずこの漠然とした名称を使います)こそ公権力の傘の下、自分たちのグラフィティを塗りつぶした卑劣漢なんだから、仕返しして当然と考えたのでしょう。

元のグラフィティと「春の小川」を塗りつぶしたグラフィティの主体が同じとはかぎらない。それから「春の小川」側の主体がハッキリしないのだから、それが「公権力の傘の下」描かれたともいえないんじゃないだろうか。いずれにしても、たしかに「春の小川」側の主体はよく判らない。
上記のリンク先によると、この問題を憂う有志は、日本デザイナー学院に接触を試みている。壁画の作者である学生たちと話し合うことができれば、たしかに、それは双方にとって有意義な時間になるのかもしれない。ただ、彼らと話し合うことで、この件が解決するかというと、どうも疑わしい。実際、作者自身はギャラリーの責任者ではなく、また、壁画の依頼主とは異なる立場をとっているかもしれないのだ。いや、はっきりいえば、日本デザイナー学院は、ある意味、担がれているだけなのでは?? ようするに問題をクリアにするためには、渋谷桜丘周辺地区まちづくり協議会に直接話を訊くほうが早いと思えるのだ。
自分は直接は関係ないし、また、治安の維持のために「落書き」を「壁画」で防ぐことに道理がないとは思わないし、あるいは、ホームレスを積極的に支持するわけでもない。でも、管理が目的なのに、表現(アート)を盾に人を路上から追い出そうというようなやり方は、やはり巧妙というか、どうもタチが悪いと思わざるをえない。
ところで、同協議会は都か区の団体かと思っていたけど、→どうやら町内会的な自治組織のようだ。ちなみに、器物損壊に対して→このような姿勢をとること自体は、その強硬さにちょっと引いてしまうとはいえ、判らなくもない。ただ、この紙をよりによって「作品」の上に貼ってしまうのは、なんだか本末転倒に見えてしょうがないんですが……。