ほえる犬は噛まない集合住宅を舞台にしたブラックコメディなので『しとやかな獣』を連想するが、それにアクションを加え、今っぽい感覚でアレンジしたような映画。二匹目の犬殺しとそれによる飼い主の死は、どう清算されたのか……。
『モーテル』盗撮がそのまま快楽殺人に繋がっているというアイデアは別に新しくないかもしれないが、監視カメラがますます身近になっている今、まだまだ使える余地があるのかもしれない。ただ、天井裏に隠れるところなんて、好きなんだけど、それ以外のディテールやアイディアが弱い気がする。
『ヘアスプレー』ジョン・ウォーターズ作品のリメイク。これは楽しい。こんな楽しいミュージカル映画は日本でつくれるのだろうか。
夜顔数あるブニュエル作品のなかで、もっともキャッチーで企画ものっぽい『昼顔』(1967)、その38年後の続編。ただし、ドヌーヴではなくビュル・オジェが出演。オリヴェイラ作品は相変わらず人を食っているというか、貫禄とはったりが共存している。ミシェル・ピコリの嫌らしさがなんともいえない。
『淑女超特急』1941年のルビッチ監督作品。欲求不満の妻が天才肌のピアニストと浮気し、嫉妬した夫と離縁するハメになるが、その過程で互いの愛を確かめ、ヨリを戻すという話。単純だが細かいやりとりがいちいち絶妙。
モーガンズ・クリークの奇跡』最初から最後までキチガイじみたテンションのコメディ。それにしても、何が「奇跡」なのか、最後まで引っぱられるけど、ありえないこととはいえ、はたしてこれを「奇跡」と呼べるのか。どうも現代の感覚ではわかりにくい。戦時中公開作品ゆえの、プレストン・スタージェスならではの皮肉だったのだろうか。
タロットカード殺人事件「『マッチポイント』貯金」でつくられたような作品……。
人のセックスを笑うなやっぱりリラックスする様子を撮るのが巧い。『犬猫』は榎本加奈子のだらしなく寝そべる姿*1が最高だった。こういう非テレビ的作品で劇場の席が埋まるのはいいことだ。前半、喫煙所の煙草の吸い殻入れからモクモクと煙りが上がりつづけているんだけど、これも演出なのだろうか?
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*1:BEEカメのっち的な