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『秒速5センチメートル』三話構成の第一・二話で甘くせつない話が展開される。どんなオチがあるのかと思いきや、第三話がひどく現実的なので驚いた。『ほしのこえ』で極端に、『雲のむこう、約束の場所』で象徴的に表れ、本作の第一・二話でも際立っていた距離というテーマが、第三話で露骨に機能しなくなってしまっている……。次回作が気になる。
『鉄コン筋クリート』物語や世界観は新しくない。もちろんクリシェを狙っているのだろうけど、日活的なパロディをもう一度真剣に(遊び心抜きで)パロディにしているような印象。が、ともかく4℃のアニメーションの精度の高さに驚かされた。
『のび太の恐竜2006』自分のマンガ原体験のひとつだが、ピー助のオレンジ色と鳴き声に最後まで違和感を覚えた。ただ、恐竜を愛すべき子供のような存在にするという発明(たぶん)はやはり偉大だと思う。それ以前の「台風のフー子」もすごい話だが(http://www.youtube.com/watch?v=v3eBf7LfbnA)。
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』一度反省した人は強い。と同時にタチが悪い。こんな遊びのような軍事訓練で国家を倒そう(?)としていたことに薄気味悪さを覚える。「総括」という言葉はもうこの映画のシーンを連想せずに使うことはできない……。終盤、ある意味美しく映画的になったので少しスッキリした。
『蛇いちご』脚本がいい。詐欺師役がおいしい(あまり好きな言葉じゃないが)。
『選挙』選挙の実情を「観察」*1したドキュメンタリー。日本人には苦笑もの。一方、外国人には滑稽か、少々異様に見えるかもしれない。これは貴重な映像かもしれない。撮影と公開を許す自民党は鷹揚なのか鈍感なのか。むしろ『靖国』への反応が過敏なのだろう。
『弓』ハン・ヨルムがいい。ここ数年話題になっている監禁事件を連想させる設定。ただ、キム・ギドクにはあまりファンタジックすぎない作品を期待したいところ。韓国映画界での孤立が反映されているとか言われることもあるのだけど……。
『ブレス』同じくギドク監督作品。自殺願望を抱く死刑囚と、自殺を思いとどまらせようとする女の話。歌、音楽、彫塑、写真、壁画、そしてインスタレーションまであらゆる表現手段が投入されている。設定や展開が不自然すぎるが、ここまでイッてしまうと逆に気にならない。