上手に列をつくれるひと、つくれないひと

「世の中には二種類の人間がいる」という台詞を、だれが考えたのかわからないけど、以前から思っていて、今日あらためて実感したことがある。人は、列に上手に並べられる奴と並べられない奴とに分かれるのだ。以下は、とある商店街にあるラーメン屋の周辺図。ここはなかなかの人気店で、しばしば行列ができる。○が私。

───┐     │
果物屋      │
───┤  車  │  民
拉麺屋 ○    │
───┤  道  │  家
休業店│     │
───┘     │

表示設定上、改行すると一行空きになってしまう。縦方向に脳内圧縮してご覧ください。さて、○に続いて並ぶとしたらどうするか。もうひとりがやってきて、ふたりになった瞬間、列が誕生し、続く方向が決定されるのであるから、ここは重要な選択となる。向かって上? ありえないことはないが、果物屋は元気に営業中なので、それを邪魔するような行列を育てるわけにはいかない。そう、この日はたまたまだけど、反対の店が休みなので、ぜひとも下方向へ続くべきなのだ。しかし、私のすぐあとに来た二人の若者。

───┐     │
果物屋      │
───┤     │  民
拉麺屋 ○●●  │
───┤     │  家
休業店│     │
───┘     │

あ り え な い ! が、このような光景を目の当たりにしたのは一度や二度ではないのだ。店内を自由に覗けるポジションを望む気持ちは分からないでもない。でも、自分たちをわざわざよけて通るチャリや車や歩行者の冷たい視線を浴びながらも、それをキープし続ける必要はないだろう。──と言おうと思ったけど、わざわざ注意するようなことにも思えないので止めておいた。しかし、考えてみると、彼らが行列の並び方を学ぶのはこういうときしかないのかもしれない。ちなみに、余計なお世話だろうが、この二人はこれからラーメンを喰おうというのに、スナックをモグモグと頬張っていた。「おれ、なんにしよーかなー、モグモグ。この店、チャンポンがうまいんだよなあ、モグモグ」「チャンポンて冬期限定だってよ、モグモグ」「モグ……ウソ!?」「ウソじゃねえよ、ほら(と店の前のメニューを指差す)、モグモグ」「ホントだあ、モグモ……。7月ってやってんのかなあ?」
やってるわけねーだろ!(笑)