『アリー my Love』日本版計画

巷のOLのハートを鷲掴みにしたという『アリー my Love』(アリー・myラブ)を少しずつ見ている。1997年に始まり、すでに日本での放送も終了しているのだから、いまさらと思われるかもしれないけど、面白いものは面白い。学園ドラマとかソープ・オペラとかシチュエーション・コメディとか、アメリカのテレビドラマにはあまり興味がなかったのだけど、たまたま眺めていた小林信彦のエンターテインメント時評で絶賛されていたので、ちょっと見てみようと思ったところが、見事にハマってしまった。これはまさしく1930年代のハリウッド黄金時代を築いたルビッチやホークス、スタージェスらの遺伝子を受け継ぐスクリューボール・コメディ*1ではないだろうか。
日本人はアメリカの笑いをなぜかバカにすることがあるけど、それはおそらく他国の笑いには厳しく冷淡ということであって、外国人である日本人を笑わせてしまうようなこのシリーズには「さすがアメリカ」と唸ってしまうはずだ。逆に、はたして、今、日本でこのレベルのコメディは可能なのか? あるいは、少し妥協して、日本版『アリー my Love』は可能なのか?
というわけで、全5シリーズのうち、まだシリーズ2までしか見てないのだけど、頼まれもしないのに勝手にキャスティングを考えている。以下、レネ以外は全員同じ弁護士事務所に所属。とくに断わりがない場合は弁護士。

◎アリー(女・20代後半):主人公。つねに恋を探すロマンチスト。妄想癖あり。リアクションがよく、表情豊か。逆に言えば、落ち着きがなく考えていることがすぐオモテに出てしまう困った女。→ 設定上ある程度賢そうに見えなければならず、また、小気味よく弾けた表現力が要求される。戸田恵子とか? でも年令的に苦しい。じつは淡島千景を推薦したいがもっと苦しい、というかさすがにありえない。上戸彩を推してみたいが若すぎる。早速、これ以上女優の顔が浮かばない……。とりあえず、次。
◎ビリー(男・20代後半):アリーの学生時代の恋人。ジョージアの夫。優しいけど、見方によっては優柔不断。いい男というよりいいひと。ときおり甘いセリフを囁くものの、ほとんど冗談を言わないし、軽口も叩かないという意味では、つまらない男……。→ ということで、アリーの永遠の恋人という重要な役だけど、ここはそれほど難所ではない。いい男すぎるのが気になるけど、沢村一樹あたりで。実際にはもうちょっとドンくさい雰囲気の役者がいいかもしれない(追記=ああ、中井貴一がいた。ただし『ふぞろいの林檎たち』のころの……)。
◎リチャード(男・30代前後):事務所のリーダー。気持ちいいくらい軽薄な現実主義者。一風変わったフェティシスト。→ 唐沢寿明堤真一。心持ち変態っぽくやってほしい。
◎ジョン(男・30代半ば):同じくリーダー。裁判では奇策を得意とする小柄な男。ふだんは神経質でシャイな変わり者。→ 背丈はともかく、ラーメンズ片桐仁や、おぎやはぎ小木博明が思い浮かぶが、ちょっとアクが強すぎる。西村雅彦は? いいかもしれない。だんだん三谷幸喜ものみたくなってきた……。
ジョージア(女・20代後半):ビリーの妻。美人だけど、これといって特徴はない。あえていえば気が強い。→ じつはビリーとジョージアは、ドラマにリアリティを与えるためか、いたって普通のカップルなのだ。したがってアリーを喰わない程度のふつうの美人でヨシ。今回は濃すぎない舞台役者を抜擢。
◎レネ(女・20代後半):アリーのルームメイト。検事。猥褻感さえ漂う色気たっぷりの黒人。→ 妄想がちで意外に小心なアリーと対照的な大胆豪放な女。母性的で包容力があり、さらに性的魅力にあふれるグラマー。しかも検事っぽくなくてはならない。これは難しい。日本人でそんなやついるか? ちょっと苦しいけど、そして黒いからというわけでもないけど、オセロの中島にがんばってもらう。
◎エレイン(女・20代半ば):秘書。所内のゴシップ収集係。腰軽で目立ちたがり。周囲に煙たがられることが多い。じつは寂しがり屋。愛らしいところはあるのだけど、美人とはいいがたく、かといって、ブサイクというほどでもない……。→ 意外に難しい。とりあえず「愛のエプロン」で、少々邪険にされてもへこたれず、むしろ輝きを増すキャラの若手を探す。
◎リン(女・20代後半):気性の荒いいい女。決して人望が篤いわけではないけど、頼まれたことは何でも可能にしてしまう、底の知れないスーパーウーマン。中国系。→ アジア系がひとりくらい混ざってたほうがええんちゃう?という配役か。たしかにシリーズに新鮮な空気を吹き込んでいる。日本版はユンソナで。
◎ネル(女・20代後半):他の女に嫉妬されるくらいパーフェクトな女。セクシーで潔癖性。→ 川原亜矢子で何も問題はない。
◎トレイシー(女・40才くらい):アリーのかかりつけの豪腕精神科医。眼鏡がごつい。→ 有無を云わさぬ迫力が要求される。萬田久子で間違いはない。

以上、主人公以外は手を打てた。が、実現に近づいたかというと正直心もとない。当たり前か。

*1:意訳すると「奇人変人コメディ」。http://www.geocities.jp/jojo129/keyword/screwbal.htm参照