『殯の森』

妻(?)を亡くした初老の男と、息子を亡くした介護士若い女の交流を描いていた*1。はじめはすれ違った二人もやがて打ち解け、惚けた男が子供のように女の手を焼かす。炎天下で遊ぶ場面がなかなかいい。下手をすると白けたものになりそうだし、原始的で他愛ないけど、こういうのはやはり普遍的な遊びなのだと思えてくる。とくに車から消えた男を女が必死に探すという体裁が、追いかけっこに転じるシークエンス、そこからさらに森で彷徨うことになるという流れが素晴らしい。木漏れ日が溢れ、雨に濡れる森が美しい。が、終盤、危機を脱して朝を迎えた男があるものに出会うあたりから、やや不安を覚えるようになった。そして最後の小道具にはまったく感心できなかった。なんだこれは〜。

*1:男の妻(?)の名は「真子」、女の名は「真千子」。女は習字で名前を書くと、男に「千」を消されてしまうのだけど、これは『千と千尋の神隠し』を意識しているのだろうか?