モテたい理由

女性小説家が書く、流行りのモテ本。女性誌の分析を通じて消費社会で強化される恋愛幻想を論じ、男女論、家族論、世代論を展開。「私の男友達がこう言っていた」式の論証や直観的な話の進め方に抵抗を覚えてしまうものの、なるほど、と膝を打ちたくなる指摘もあった。そして冒頭の戦争の話が、最後になんと戦後民主主義論につながってくる。タイトルから想像していたものよりヘビーな本だった。タイトルは少々問題ありだけど、帯コピー「もう疲れたよ…/でも止まれない。/女たちを包囲する“モテ”の真実!」は巧いし、的確。同調して読むと文字通り疲れてしまうのだけど、留学中の著者がアメリカ人美術教師に「あなたは日本語のアクセントをなくしてはだめよ。でないと、あなたの特徴がなくなる。アメリカ人はあなたが英語を話すのも当然に思ってしまうからね」と助言されるという、終章のエピソードにちょっと救われる。アメリカ人に言われるってのがなんとも複雑だけど。

モテたい理由 (講談社現代新書)

モテたい理由 (講談社現代新書)