あ〜ちゃんとテクノ

mnsn2008-03-23

というお題で書こうと思ったけど、長くなりそうだし、Perfumeは「GAME」で次のステージへ行きそうなので、今のうちにメモ程度に。
かつて、あ〜ちゃんは「私たちテクノというのをやっております」と決まり文句のように言っていた。が、この挨拶は最近すっかり耳にすることがなくなった。Perfumeはもはやどんな音楽をやっているのかを、改めて説明する必要がなくなりつつあるわけだ(たんに飽きたのかもしれないが…)。
この際、テクノの定義は問題ではない。重要なのは、あ〜ちゃんとテクノの関係だ。あ〜ちゃんの艶やかで伸びのある歌声は、かしゆかの甘い声、のっちの軽い声より、テクノ向きとはいいにくい。しかも一貫してaikoを崇拝し、たまにアニソンを好きな音楽に挙げるあ〜ちゃんは、おそらくテクノにほとんど関心がない。つまり資質的、趣味嗜好的に、少なくとも他の二人よりもテクノから遠いことは間違いないだろう。「ハウスのハの字も出てこない」*1のも無理はない。極論すれば、あ〜ちゃんにしてみれば、テクノとハウスの違いなど問題ではないのだ。
ところが、数えたわけではないが、これまで「テクノ」という語をもっとも頻繁に使用してきたのは、他ならぬあ〜ちゃんだ。ようするに、あ〜ちゃんはテクノと一定の距離を保っているが、それゆえ、ものすごくテクノを意識しているといえるだろう。かといって、あ〜ちゃんの考えるテクノがなんなのかはやはり不明なのだが、少なくとも他のメンバーと比べると、あ〜ちゃんにとって、テクノがより大きな意味を持っていることは想像に難くないはずだ。
というわけで、ファンにはよく知られているし、文面で伝わるのか心許ないけど、以下、テクノをめぐる、あ〜ちゃんの発言をいくつか。あ〜ちゃんの天性のトークはテクノの抑圧によってこそ研ぎ澄まされてきたともいえるわけですから、ここでは多少の矛盾には目を瞑り、「ポリリズム」のあの間奏を削れという要求に「間奏ではなく歌です」と抵抗した中田ヤスタカにならい(…)、歌を聴くようにその発言に耳を傾けてみましょう。
要約すれば「テクノってなんなん…!?」から「テクノ、使える…!」への大きなシフトチェンジ。あ〜ちゃんとテクノはかつて犬猿の仲、少なくともテクノは一方的に嫌われていたわけですが、ブレイクをきっかけに、両者は本格的に和解し、というか、テクノが一方的に認められたのか、一種の蜜月時代を迎えることになったことが分かるでしょう……。

約4年前、中田の「しゃべるように歌ってほしい」というリクエストに、それまでディーバ系の音楽を目指していた3人は違和感を覚える。「最初はもっと声を張り上げて歌いたいという気持ちもあったんです」(あ〜ちゃん)。(2007年11月1日)

http://www.pia.co.jp/news/hot/20071101_perfume.html

それまでずっとアクターズスクールではディーバみたいに、歌い上げますみたいな感じで習ってきたので、急に全然違う方向にされて、すごいびっくりしちゃって、しばらく受け止められなくて、テクノってキライ! なんて思ってたんですけど(笑)。
TV Bros.」2007年12月8日号

──声を加工することに抵抗は?
最初はテクノをよく知らなかったので、自分の声が加工されてわからなくなっているのが、理解できなかった。アクターズスクールは、「小柳ゆきです!」って感じで、歌い上げてナンボ、ビブラードでナンボなんです。急にしゃべるように歌ってとか、もっと突き放すように、とか言われても……。どれだけ自分のプライドを捨てるかっていうのがありました。
「読売新聞」2007年10月24日付夕刊

──声を抑える分、ライブパフォーマンスがすごい。
そこしかないです。歌と踊りが人形みたいな感じなのに、トークまでが作られていたら、アニメのフィギュアみたいになっちゃう。
同上

(テクノの第一印象は)うーん、なんかピコピコしてて、なんでこんなやる気のない感じなんだろう? ちゃっちーなーと思いました。でも今はこれがないと生きていけないです。
三宅裕司のサンデーハッピーパラダイス」2008年1月20日放送

私は「エレクトロ・ワールド」が好きで、…まぁ別にそんなすごく好きというわけじゃないんですけど(笑)、皆さんすごく好きって言ってくれて、すごく盛り上がるし、自分達の中でも結構キーポイントとして置いている曲ではあるので、そういう曲がもっと増えたら嬉しいですね。(2008年1月18日)

インタビュー:Perfume「賛否両論あってもいい」 - ライブドアニュース

たぶん、Perfumeからテクノを外すとすごく普通の人になると思うんですよね。ウチらはもう〈中田教〉の信者なのかもしれません(笑)。曲は中田さんが作ってくれて、振付けはアクターズ時代からの先生がしてくれて。Perfumeは言われたとおりに歌って、踊ってるだけ。だから、いくら周りの反応が変わろうとも自分たち自身は変わりようがないんです(2008年1月25日)

http://www.bounce.com/interview/article.php/4045/ALL/

私音楽とかあまり聴かないんですけど、いろんな人にCDをもらって、最近すごい聴いてて。ipod持ち歩くわけではないんですけど・・・ipodあるんですけどぜんぜん使ってなくて(笑)。CDでおうちで聴くんですけど、すごくいろんなの聴くようになって。DVDとかも見るようになって。昔のアクターズ時代の自分たちが映っているビデオとか、今のアクターズの後輩たちのビデオとか見たり、aikoさんのライブDVDがすごく好きなので、それを見て一人で歌ったりしています(2007年10月28日)

Perfumeこぼれ話【お気に入り編】 : popstyleブログ : エンタメ : 読売新聞オンライン

*1:「Quick Japan74号」中田ヤスタカインタビューより