映画館でキレてしまう

いまさらだけど、今年ももうすぐ終わることだし、「腹が立っちゃったことベスト5」のひとつを書き留めておきたい。それは真夏のある日曜日の出来事だった。新宿三丁目の映画館、某スカラ座では、およそ20分後の上映終了を待つ列が、地下一階の劇場入口から外の階段の上まで続いていた。すでに2、30人は並んでいただろうか。列はさらに延び、満席になることが予想された。僕は窓口で切符を購入すると、あとの予定がつかえていたし、途中からの鑑賞にそれほど抵抗がないので、そのまま入口へ向かった。以下はそこで劇場スタッフに呼び止められたときの押し問答。
「ちょっと待ってください。ただ今上映中です」
「え? 途中からでも観たいんですが……」
「満席ですよ」
「かまいません。立ち見します」
「……次の上映もご覧になりますか?」
「はい」
「それでは列にお並びください」
なんでやねん。
「……でも入れ替え制ではないんですよね?」
「そうですが、こうしてすでに並んでいるお客様もいらっしゃるので……」
ははーん、ようは並んでいる客の手前、体裁が悪いということか。
「ぼくは切符を買うとき、途中入場できないとは聞いてないんですよ」
「ですが、先に並んでいるお客様がいるのにお通しするわけにはいきません」
並んでいる? 並ばせているんだろう?
「今さら、そう言われても困りますよ」
すると劇場員も少し喧嘩腰になり、突然話を変えてきた。
「払い戻しされますか?」
「(ブチン!)はあ? 払い戻しすれば済むと思ってんのか!?」
「いえ、そういう意味では……」
「こちとらこの時間に観るつもりで来てるんじゃい! 分かりにくいことしてるん、そっちなんちゃうんか!?」
「……」
「よーし、もうええわ。どうしても並べっちゅうんやな。あそこか? あそこに並べばええんか? じゃあ、あんた、あの位置覚えとけよ。この回、観終わったら、あんたが言うとおり並んだるから、呼びにこいや!」
「あっ……(お、お客さーん……という顔)」
以上、かなり脚色してます。ラストは事実と違うし、実際の僕は関西弁は喋りません。まあ、こうやって「強行突破」しておきながら、ロビーでくつろいでいたりしたらタチが悪いだろうな……(笑)。ともあれ、入れ替え制なら入れ替え制にすればいい。というか、入れ替え制だろうとなかろうと、入場制限するなら整理券を配るべきであり、また、入場制限するにしても、できればロビーに客を通すべきだろう。客商売なんだから、役人みたいなことを言うな、オノレの都合ばかりを優先するな、と言っておきたいわけです。それにしても暑い中、大人しく並ぶ人も並ぶ人だと思うのだけど……。