「恋のから騒ぎドラマスペシャル」

「恋から」歴代名物出演者3人に焦点を当てた、それぞれのドラマを制作すると聞いて、期待すると同時に不安を覚えていたのだけど、結果としてはなかなか面白かった。
第1話は高飛車な三十路のスッチー、通称“掛布”、第2話は語尾に「タン」をつける妙な喋りで知られる通称(?)“宝満”、第3話はドスの利いた声と侠気たっぷりの語り口で人気の通称“雁之助”が主人公。
第1話。酒井法子が演じる掛布の計算高さとプライドの高さが邪魔をして幸せになれないという白鳥麗子のようなキャラはとくに目新しくないけど、純朴そうな後輩がじつはもっと計算高く、狙っていた男をまんまと奪われてしまうものの、その男がさらに一枚上手で後輩がやり逃げされてしまう云々という二転三転する展開。ようするに騙し合い。「なるほど、そう来るか」という印象。
第2話。「恋から」史上最大級のインパクトを誇る、あの宝満円(ほうまんまどか)というキャラクターをどう演じるかが、まずポイントになるだろう。内山理名にはある意味「よくやった」といいたい。以前「恋から」にゲスト出演したときは、さんまのちょっと品のない質問をうまくいなせず、「カマトトぶっているのか頭が悪いのか、その両方かな」などと勝手に推測していたのだけど、今回のドラマでは、いささか白痴的なキャラを演じきるという女優根性を、しかと見届けた気がする(まあ、彼女のその経験が今後の女優人生に活かされるかどうかは判らないのだけど……)。さて当時の「恋から」では、雪の降るなか何時間も待ちぼうけを喰わされ、危うく死にかけたとか、泳げないのに海に突き落とされ、やっぱり危うく死にかけたという衝撃のエピソードでスタジオが騒然としていたのだけど、なぜそんな事態になったのかという事情についてはほとんど触れられていなかった。今回のドラマ化にあたっては、それらがかなり肉付けされ、結果的には、ホラーのような、サスペンスのような、そして笑いあり、涙ありの息もつかせぬ展開で、約30分という尺にしては見どころがふんだんに盛り込まれた賑やかな構成になっていた。
第3話。永作博美は小さな体で頑張っていたかな……。でもシナリオも演出も第2話ほどではない。また第1話の印象がすでにあるので、結末のどんでん返しがある程度見えてしまうという不利な面もあったかもしれない。
結論らしきことを述べておくと、やはり出色の出来は第2話。でも「アリー・myラブ」はもっと面白いかも。次回があるなら7期生年間MVP登尾佳奈に登場してもらいたい。