『Shall We dance?』上陸(と井筒監督)
「虎の門」の名物企画「こちトラ自腹じゃ!」。井筒監督の辛口の「美点」については以前も少し書いた。今回のネタは『Shall We dance?』。公式ページには拾われてないのだけど「くっっだらねっ!!!」が連発されていた。ここまで身も蓋もないと、何はともあれ爽快だ。が、いつものことながら、他の出演者がそろいもそろって目を泳がせるという、スタジオの変な空気がもとにもどるのかといらぬ心配もしてしまった。まあ、井筒監督にああいう映画を見せたらこうなることくらい分かりそうなものだけど、監督自身にはもう少し悪口のテクを磨いていただきたいとも思う。とはいえ、そのときも、さすがにこれだけでは芸がないと思ったのか、しまいには身を乗り出し、カメラ目線で配給会社に語りかけていた。
「こんな映画、どう紹介しろっちゅうねん!?」
配給会社も井筒監督に頼むつもりはないだろう(笑)*1。
さて、冗談はともかく、たしかに、おそらく周防正行映画のファンにしてみても、『Shall we ダンス?』が「記録に残る作品」か「記憶に残る作品」かといえば、さすがに後者とはいいがたい出来だろう。しかし、そんな作品が米国でヒットし、米国版までもが製作された。さらに、予告編を観るかぎり、米国版は日本版とほとんど同じ構図、カット割りで、ここまでそっくりの映画をつくることにはたして意味があるのかと驚いてしまうくらいだ。ただし、こういう考え方自体がおそらくちょっと日本人的で、米国人にとって日本版はあくまで外人による外国語映画である(でしかない)と考えれば仕方ないのだろう。そもそも、米国人にとっての「外人による外国語映画」と、日本人にとってのそれは異なるのだ*2。
こうした事情や問題を考える際、他ならぬ周防監督著『『Shall we ダンス?』アメリカを行く』は興味深く、とくにあのミラマックスとの攻防はリアルだった。清水崇も米国版『呪怨』制作記を書いたら絶対売れると思うのだけど、ひょっとしてもう進んでるのかな?